写真家"彼方"の白い小箱

001:バッテリーについて
FujifilmのLi-ion二次電池(使用不能)

■本稿ではカメラのバッテリー(充電池・二次電池)について語る。
※所謂「単三型・単四型」と呼ばれるサイズの充電池についても述べる。

 カメラに関する情報を掲載するウェブサイトは数あれど、二次電池(バッテリー)から始まるウェブサイトは、そうそうあるまい。だから第一回を、このネタにした。

 電池は現代のカメラにおいて必須である。フィルムであってもデジタルであっても。デジタルカメラは電池駆動するのはまぁ、当然だとして(電気がなければ文鎮である)、フィルムカメラであっても電池を使う。
 コンパクトデジタルカメラ。大きさとしては缶コーヒーくらいから、大きなものでは男性の握り拳以上の大きさのものもある。上部写真は缶コーヒーくらいの大きさのコンデジのバッテリーである。複数のデジタルカメラ(コンパクトでも一眼でも)を所有すると、とにかくバッテリーの規格のバラバラさに辟易する。だがまぁ、カメラはバッテリーを基準にして作るものではないので、これは消耗品として我慢するほかない。

 現在、典型的なデジタルカメラは上部写真のような「はんぺん」の形をしたバッテリーを採用するところが多い。特殊なカメラや気の利いたメーカーでは、バッテリーパックと乾電池、どちらも使えるというものもある。
 そこで採用されているバッテリーが、リチウムイオン二次電池だ。バッテリーパックのどこかに書いてあるだろう。小さな文字で「Li-ion」と。

 おそらく使われているのは、コバルト酸リチウムか、マンガン酸リチウムである。上部写真のバッテリーは定格3.7ボルトなので、後者の可能性が高い。
 ちなみに、乾電池も使えるタイプの機種ではアルカリ乾電池(一次電池・充電できない)推奨がほとんどである。特記無き限り、旧eneloop(三洋電機開発)と、それに続く充電式EVOLTAはニッケル水素充電池で、使えない(電圧が低すぎる)ため注意が必要。


 本題に入ろう。
 各種二次電池の特性については、みんな大好きWikipediaあたりでも見てもらえれば大体分かるので、このサイトらしい内容を記述する。

 保存と充放電である。

 例えばバッテリーにも、メリット(長所)とデメリット(短所)がある。私たちが普段飲んでいる薬も作用と副作用があるように、バッテリーにも長所と短所がある。短所よりも長所のほうが有利だからそれを使う、ということを、まずは頭の隅にでも入れておいて頂きたい。

 リチウムイオンバッテリーは、恐ろしくデリケートな電池である。充電や放電状態、温度等をバッテリー内臓回路や使用する機械、充電器などでチェックして、特に充電に関しては非常に細かいコントロールを行っている。放電に関してはまあ、指定された機械(装置)で使用する分には、暴走することはまず無いだろう。
 リチウムイオンバッテリーの短所を、ざっくりと書き出してみた。

 1.満充電のまま放置すると、急速に劣化する。
 2.発熱しやすい。
 3.衝撃に弱い。
 4.過放電すると故障する。(機能しなくなる、充電不能になる)
 5.過熱すると発火・破裂するおそれがある。

 これらはすべて電池の材料に由来する。充電できる電池(二次電池)としては破格の電圧を得るために、材料や内部の反応が化学的に不安定なものを使うしかなかったためだ。ただ、それでも使うということは、メリットのほうが大きいからである。

 ではここで、充電に関するアドバイス
 これらのアドバイスは経験と自己研究、各種情報を繋ぎ合わせたものである。

 ・出来るだけ涼しい場所で(原則、氷点下では充電不能。気温が30度を超える時は充電しないほうがいい)
 ・使いながら充電はしない(デジカメでこれが出来る機種は少ないが、携帯電話は使えてしまう)
 ・完全にバッテリー上がりになる前に充電

 そして、保存に関するアドバイス

 ・満充電状態で保存しない。理想は50%充電程度で保存。
 ・月に1回くらいは放電させてあげる。過放電に注意。
 ・出来るだけ涼しい場所で、太陽光を浴びないように保存する。密閉容器は意味が無い

 最後に、使用に関するアドバイス

 ・可能なら80%程度に充電して頻繁に使うほうが、長期的視点では良い。
  ・カメラ放置は写真を撮らないわけですから、活かしてあげましょう。
 ・満充電は時々してあげると非常に良い。
  ・バッテリー内部の回路に、電池情報を学習させることができます。
  ・頻繁(2〜3日に1回以上程度)に使用するなら、常時満充電でも可。
 ・寒い場所(氷点下付近)で使うときには、予めポケット等に入れて少し暖める。金属(鍵等)との短絡に注意。
 ・カメラを使う日が予め決まっているなら、前日に満充電する。
  ・自己研究では、満充電でも1週間程度の放置なら、寿命にあまり影響が出ないと思っている。


 自己研究の範囲でなんとなく分かっていることは、

 ・深放電しない範囲で放電しきって(電池残量ゼロまで持っていく)満充電すると劣化しやすい
  ・バッテリーの持つ制御チップの情報を読み取ると、現在容量が少し減少するのが分かる。
 ・うっかり、しばらく放置してチップ情報が狂ったバッテリーは、放電後に満充電すると補正が入る。
  ・やはり制御チップを読み取ると、低くなりすぎた現在容量が回復するのが分かる。
  ・但し、最終的な寿命はかなり縮む。新しいバッテリー購入までの応急処置程度にしかならない。

 さて、これで、バッテリーの持ち(寿命)は、かなり良くなるはずである。
 皆さんお持ちの携帯電話にも使われている共通話題なので、この話を第1回とした。
 次回の「導入編」では「互換バッテリーと互換充電器」について触れようと思う。

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