修理と補修 | 2022年 8月18日(木) 1時40分 |
「クワハラさんの遺品箱」シリーズ。 Jun Sugawara氏のカメラもまだ残っているのだが、重症度の高い子が入ってきた。
----いきさつ----
私がよく使うコインランドリーで、よく会って話をしている女性。年齢は……おそらく私の倍近いが。 Ikonta521とか試写していたら興味があるようで話掛けてきた。 で、どうも亡くなった旦那さんの遺品として、カメラが「放置」されている、と。私が直すのを趣味にしていると言ったら、このまま捨てるのは難しいから、直して動いたら使って欲しい、と。勿論快諾した。
で、翌日もう一度ちょうど会えた。渡されたカメラは20年放置された、なかなか香ばしい感じ。
別に、Jun Sugawara氏から頂いたカメラを軽視するわけではないが、重症度が桁違いなので、割り込み修理をすることにした。 順番にやっている間に色々な意味で崩れ落ちそうな予感がしたのだ。
----ここまで----
そんな訳で。数が多い訳ではないし、別に修理目標とかは掲げない。そもそも専門外の一眼レフが多い上に、ひっどい状態なことこの上ないので、とりあえず動かすまでを目標として修理していくことにする。Jun Sugawara氏には大変申し訳ないのだが、台数が少ないのでご容赦を……。
最初に選ばれたのは、FUJICA AUTO ELECTRO AZ-1だった。写真見て分かるでしょ。フィルターもレンズもカビだらけ。レンズを外せばモルトが「だばぁ」してくる始末。こりゃいかん。本当にいかん。そしてびっくりしたのが、この子、M42スクリューマウント。 ……いや、レンズ交換式カメラに触ってこなかったので驚いただけで。そりゃ富士もスクリューマウント作っていて当たり前だよな。引き伸ばし機は当然スクリューマウントだし。 幸いだったのが、設置場所から動かしたり落とすようなことがほとんど無かったようで、ゴミのまわり込みはそこまで酷くはなかった。
仕様は以下の通り。
レンズマウント:M42(開放絞り対応) 露出:TTL中央重点・絞り優先自動露出・AEロック・SpD(シリコンフォトダイオード)←これ重要 シャッター:手動メカニカル 1/60, 1/250, 1/1000, B シャッター:AE(電子) 1/2秒から1/1000 露出補正±2(1段ステップ) ストロボ同調:1/60 電池:1.55v酸化銀電池(SR44)×3個 (LR44 3個でも問題ないはずなのでLR44でテスト中) ファインダー:スプリット・マイクロプリズム・すりガラス 付属レンズ:FUJINON・Z 1:3.5-4.5 f=43-75mm(FUJI PHOTO FILM CO. Lens-Japan銘入り)
とにかく。とにかくだな、このカビまみれで反対側がまともに視認できねぇレベルのレンズを何とかするのだ。
前群を外す。フィルターは度が過ぎて酷いので、撮る前に掃除した。シャーレって言って良いレベル。
これこれ。こんなのが前も後ろも続いている。ファインダーが真っ白で前も後ろもダメ。外せるだけ外し、とにかく清掃する。 ……ってこれ書いている時に気付いた。過酸化水素水を発注するの忘れていた。アルコールではダメなんだ。
……で、これ。どうすりゃいいんだ。幕にカビ生えている。 出来る限りで掃除したが……直らないカメラで、幕清掃の練習でもしなきゃダメだな。単純に紫外線とか当てるだけじゃ話にならん。 金属ではなく布幕なので、過酸化水素水で……軽くたたくように洗ってみるか……? とにかく出来るだけの掃除をした。 あまりにもやる事が集中していて、うっかり写真には残していないが、剥落したモルトの除去、ファインダー清掃、気になる部分をちょっと磨いて終了。 尚、この子は確かオイルレスメタルを採用しているはずなので、迂闊に給油してはいけない。
はい、出来上がり。回路が潰れていたら徹底的に開かないとまずいと思っていたが、予想に反して回路は生きていた。 電池はちゃんと抜かれていたし、緑青まみれ、みたいな事にもなっていなかった。接点がちょっと甘いのは、コンタクトスプレーで磨いてあげて即座に解決。 で、このカメラは昭和53年ころの発売だったはず。なのでセンサーはCdSではなく、贅沢にもシリコンフォトダイオードを使っている。指標が正しいかどうかは試写の結果次第というところだが、試写中に違和感を感じることはない。おそらく問題無いだろう。 AE機能も問題なさそうで、シャッター半押しでAEロックとなる。今のカメラなら追随し続けて露出を決定するところなので、ロックしてしまうというのは意見が分かれるところだと思う。だが、私はこちらのほうが使いやすい。
今回の子にはワインダー(というより自動巻き上げ機)が付属していなかった。連写機能なら良かったが、おそらく立ち位置としてはファミリーカメラ中級機(から初心者向け)程度だし、連続測光しないならば連写は要らないだろう。たとえば運動会で走る子どもを追いかけるならば、ISO100のフイルム・F8くらいにして、あとはマニュアルでフォーカスあわせて撮る。微妙なピントは絞りによる被写界深度で稼げばよい。 ……と書くのは簡単だが、今、それが出来る人はどれくらい居るだろうか。うちの親父殿はそれをC330でやっていたので凄いと思う。私には子どもがいないので、出来るかワカラン。
そんな訳で動きました。現在試写中。
こちらのメモ、一応貼っておくけれど、備忘録みたいなものなので数値は動きません。
ここまでの成績:機種別:84.2%(16/19) 筐体別:70.8%(17/24) 短期目標:機種別で50%以上救う → 達成中 長期目標:筐体別で50%以上救う → 達成中
・試写完了/現像完了 なし
・試写中(優先度順) ・FUJICA AUTO-7(※ジャンクセールで拾ってきたやつなのでリスト外) ・Ikonta 521 [評価済] ・FUJICA AUTO ELECTRO AZ-1(遺品箱シリーズ)
・試写待ち機材(優先度順) ・ミノルタ セミP [評価待] →もう一台どこいった? ・FED 1f + 別添FED用 1:3.5 50mm [評価済] →柊っこさんからの熱い視線 └ZORKI-4Kで試すことになりました
・只今修理中 ・Canon 7(遠い目で虚空を見ている) ・minolta SR-1(遺品箱シリーズ)
・自分の手持ち機材の中でご機嫌斜めになった子 ・Nikon F3(動作が安定したらSPD/D-76用の基準機として利用予定) |