写真家"彼方"の白い小箱

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Konica C35フラッシュマチック

 往年の名機ということで、先生よりKonica C35を頂いた。但し動作不良品。

・35mmレンズシャッター式 距離計連動EEカメラ
・ヘキサノン F=38mm F=2.8(~14)
・二重像合致式距離計連動(レンジファインダー)
・CdS素子測光 自動露出

 このカメラ、小さい割にはよく写るらしい。今回はこれを修理・・・するのだが。
 先生曰く「ネットに分解方法載せてるところがあるから参考にするといい」……しかし、このカメラの分解清掃は「業界の常識」のようで、ざっくりとしか書かれていない。こりゃ参った、手探りでやっていくしかないか。

 突然の死刑宣告。

 銘板を外して、ネジを3本ユルめたら、レンズユニットが飛び出してきた。
 簡単に説明すると、レンズの嵌め込み位置っていうのは必ず決まっていて、適切な締め込み開始位置に設定しないとピントが出ないどころではないレベルで滅茶苦茶なことになる。


 そして中を開けたら超キタネェ。油と錆と緑青とモルト片だらけ。あ、ちなみにこの機種はこれがシャッターユニットです。2枚の絞り羽根兼シャッターとなっております。平たい板の上に乗せると張り付いて持ち上げられなくなるので注意。この段階でシャッター開かず。
 そして先生からストップ指示が入った。幾らなんでもこれは酷すぎるらしい。

 2日目

 もう一台 Konica C35が来た。
 1台は、シャッターとレンズが駄目な子。
 新たに来た子はEE(露出計)が駄目な子。
 これを使ってニコイチするのだ、という話。マジで?
 今度こそリペアではなくレストアになるぞ?


 作業開始前に・・・これはあっちこっち探しても出てこない話なので、あえて明記しておく。
 Konica C35はユニット単位での組み付けになっている。大まかに分けて、

・ボディ(筐体)
 ├軍艦部
 │├レンジファインダー(距離計)
 │└露出計(シャッターユニットと合体)
 ├前板(レンズブレード)
 │├銘板
 │├ピント調整筒
 ││└前玉
 │└フラッシュ制御機構+バルブ制御機構
 ├底部
 │├電池ボックス
 │└巻上伝達機構
 └シャッターユニット
  ├露出計
  ├セルフタイマー
  ├ガバナー
  ├絞り兼シャッター
  └シャッターボタン

 という構図になっている。(細かいところは省略)
 電気回路は、
 電池+→EEユニット→銘板(感度設定+CdS素子)→電池-
 というシンプルな直列回路をとっている。

 例えば今回の場合、EEユニットの載せ替えとなるので、前板は分解しなくて良い。(実際には銘板だけ外しておく。理由は後述)
 普通のカメラの手順どおり、フィルム室をオープンにして、軍艦部・底部を開ける。ここでEE(露出計)が目の前に鎮座しているが、このままでは外れない。まずは前板を筐体から取り外す必要がある。そのためには皮を一部剥がす必要がある。
 この太字の部分がなかなか掲載しているサイトがなくて、割と時間を食った。

 その前に。時系列で掲載するので電池ボックスの酷い有様をどうぞ。

 ここを半田付けし直して、レンジファインダーを外して2日目終了。


 3日目。

 分解方法を探し回る。ここで結構な時間をロスした。
 まず、筐体前部のセルフタイマーを外す。皮を剥がすと、左右4箇所にネジがある。


 繋ぎ目のところにあるのでわかり易い。
 軍艦部と底部を外さないと前板(レンズボード)は外れない。注意。
 また、レンズに用がないのなら、カニ目リングを回して外し、銘板だけ緩めておいたほうがいい。つまり、レンズ側のユニットはほぼノータッチでいける。今回はEE載せ替えに伴う個体差吸収のため、銘板も載せ替えている。

 こんな感じで、レンズボード・シャッターユニット・筐体は電線で接続されているので注意。また、右にあるレンズボード奥からピンが飛び出しているが、これがピント調節用でレンジファインダーに接続するので紛失注意。スポッと抜ける。
 筐体からシャッターユニットは簡単に外れる。ネジは4箇所。やはり左右に2本ずつで留まっているので、そこを外せば正面からズルリと抜ける。筐体と接続しているのは電線だけなので心配せずに抜ける。

 どの状態で外すのがベターかというと、絞り&シャッター部分に触らないのならば

 この状態で外せば安全である。ユニットを外すのは写真上で黒いネジ(1本見えていて3本は隠れているが)で、白と金のネジは緩めない。

 シャッターユニットはEE(露出計)・セルフタイマー・ガバナー(実質的にはフライホイール)・シャッターボタン・絞り&シャッター羽根で構成されていて、写真一番右に出っ張っている銀色のレバーがチャージレバー。これは底部と接続されるが、接続といっても「添えているだけ」なので、物理的に噛み合っているわけではない。押されるだけだから気にしなくて良い。

 露出計(EE)ユニットの取り外しにかかる。
 この取り外しにかかる部分の説明というか、解説が見つからない。内側でどういう構造をとっているのか、外した時に連結が外れないか、とヒヤヒヤしながら外したが、実はピン1本噛んでるだけなので、全然たいしたことはない。
 レンズを正面に見た場合、手前に1本、裏側に2本の3つのマイナスネジ(金色)で固定されているだけ。

 この通り、呆気なく外れる。外す際、針に触らないように注意。細い針なので、不用意に触ると曲がる。


 2台の載せ替え準備完了。続きは4日目へ持ち越しとなった。

 ちなみに、シャッターとレンズが壊れているほうのユニットだが、

 ただ単にチャージレバーとフライホイールの接続部がおかしくなっていただけだった。
 部品を正しい位置へ動かして、ドライバーの頭で小突いてやったら普通に動き出した。

 4日目

 睡眠不足と仕事上がりでクタクタになって帰宅。
 回路の繋ぎなおしのために、ニッパーを用意し、半田ごてをスタンドに置いてコンセントに接続する。

 半田ごてに通電したまま寝落ちするというとんでもないことをやってしまった。


 ぬあああああ!(勢いに任せて取り付ける)
 
 取り付けに関しての注意事項は
 1.EEとシャッターユニットの組み込み時、EEのピンとシャッターユニットの速度検知バー(次の写真の下から上に大きく伸びる銀色のバー)の先端にあるp型リングのところに、ちゃんとピンが収まるように組み込むこと。

 2.ユニットの取り付け位置を間違えないように。もっとも、方向を間違えると確実にネジが回らないが。
 3.くれぐれも、露出計の針を曲げたり、強引に動かさないこと。
 4.筐体に組み込む前に電池を入れて、針が動くか確認すること。暗いのに振り切れる場合はCdS接続部あたりで短絡(ショートサーキット)している可能性、明るいのに動かない場合は断線を疑う。赤フイルムのところでピクピクする場合、EEのピン位置を間違えていないか確認する。必要なら底面チャージレバーを動かしてチャージし、空打ちして動作確認する。
 5.筐体への嵌め戻しの際、配線は適切に行うこと。配線をブレードで押さえつけてしまうと動作不良を引き起こすし、メカ部に引っかかると後々外すのが面倒。

 正面からシャッターユニットを差込み、ネジ4本で固定。
 レンズプレートを取り付け、皮を戻し、底面を固定する。

 使いまわし写真になるが、こういう格好になる。
 前稿で述べた通り、ピント調整バー(レンズの一番上にある銀色の細い棒)を差し込むこと。これを差込み忘れるとレンジファインダーが只の箱になる。


 私はここでレンジファインダー部を差し込み直した。理由は、

 1.先に取り付けると指紋でべたべたになる
 2.レンジファインダー上部は紙っぺらみたいなモノだから負荷になるようなものは最後に取り付けたい
 
 というところだ。もちろん、先にレンジファインダーを載せておいて、前板を閉じる「正規ルート」も存在する。
 ちなみに、そのまま差し込もうとすると、ピント調整バーがミラー稼動部のレバーに邪魔をして、適切にセットできない。まずは鏡筒を回転させて最短撮影距離(1m)にして、バーをレンズ側に押し込んでおく。(強く押し込む必要はない。)
 ここが肝要。レンジファインダー部を取り付けるとき、まずは普通にセットする(バーの部分だけ浮いている)→ピンセット等で、レンジファインダー下部、バーの脇からレバーを押してやる。するとストンと落ちる感じで適切な位置へはめ込みが可能。

 よっし、嵌った! → 寝落ち

 5日目

 深夜に目覚める。さあ、最後の仕上げ。
 Flashmaticのプレートを取り付けて、銘板を取り付けてカニ目リングを閉めてやる。
 軍艦部は逆順に取り付け。撮影枚数カウンタがSになっているか必ず確認。間違っている場合、くるくると回して適切な位置へ。
 巻き戻しクランクの下のネジ→クランク取り付け→巻き上げレバーの取り付け
 これで完成。


 巻き上げレバーから取り付ける人もいるかもしれないが、本体と軍艦部の微妙な噛み合いの調整が必ずやりたくなるので、クランク下ネジの仮止めからやるのが個人的おすすめ。

 試写……したのだが、アンダーになったりオーバーになったり。この後もCdSの交換作業をしたのだが、どーもうまくいかない。
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