写真家"彼方"の白い小箱

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Zenza Bronica S2(後期型)


 とりあえずクッソ重いんだけどこのカメラ。
 本体重量1780g……筋トレグッズかよ、ってレベル。但し、これは頑固に作られているという証でもある。

 仕様について。

 昭和40年7月発売。
 6×6判 フイルム交換式フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ。フイルムは120・220どちらも使用可能。
 ファインダーはフレネルレンズ付ピントグラス方式。
 面白いのは、ミラーはアップではなくダウン(降下式)動作をする。
 完全自動絞りで、手動絞りボタンによる焦点深度確認も出来る。
 フォーカルプレーン部については縦走り式。
 レンズは、このカメラ標準のニッコールP 75mm F2.8で、おそらくシングルコートの4群5枚レンズ。

 当時としては相当先進的な機構を採用していたようだ。
 ミラーはインスタントリターンミラーで(恐らく当時では巻き上げ動作をしないとミラーが戻らなかった?)、フイルムが入っていないとシャッターが切れず巻き上げも出来ない。(空転する)
 また、フイルムバックに引蓋が入るが、この引蓋を抜かないと巻き上げてあってもシャッターは切れない。(フイルムバックを取り外せば巻き上げ動作でシャッター動作確認は出来る)
 フイルムバックを取り外す時は、引蓋を「押し込む」動作でロックが解除され、フイルムバック単独になった場合、引蓋は抜けない仕様になっている。
 オートマットなのでスタート位置を合わせれば、あとはそのまま巻いていくだけで大丈夫。しかもフイルムバックは120・220共通で、カウンターはフイルムバック側についている。複数のフイルムバックを使い分けできるというわけだ。
 外装は18-8ステンレス鋼板磨仕上ということで、これどうみても贅沢仕様カメラです。

 デメリットは、重い。とりあえず重い。MAMIYA C330とZENZA BRONICAどっちを持っていくか、と尋ねられたら、ちょっと考えてしまうほどに重い。
 あと、巻き上げの最後にガチャンという大きな音がする。個人的にはこれは「しっかり準備できたよ」サインだと思っているので良いのだが、苦手な人も多いようだ。あと、シャッター音のデカさ。びっくりする位に大きな音がする。\ガシャン!/
 あとは・・・現代において、レンズの選択肢が無いのが心許ないかな。まぁこれはMAMIYA C330でも同じなんだが。
 あとはそうだな……レンズ交換式なので先生の興味を惹かないという点か。6×6判で75mmならミノルタフレックスとかオートコードあたりのほうが、確かに軽量で写りは良いのかもしれないが……。

 とりあえず近日、ファインダー清掃を行う予定。凄くしっかり作られているカメラで、迂闊に分解したら確実に戻せなくなるだろう。メンテナンスは創業者の息子さんがオーバーホールの業務を行っているので、そちらに頼めば良い。


 ところで、このカメラはレンズマウントが2種類ある。径57mm・ピッチ1mmのスクリューマウントと、レンズと本体の間のブロニカ大型バヨネット。大型バヨネットにヘリコイド繰り出しブロックがついていて、その先にレンズを装着する方式。よく出来ている。

 このカメラの場合、機構は素晴らしいというか、音以外には文句のつけようがない。私の場合は手応えや音も含めて文句無いのだが。あとは、レンズがどれだけ写せるか、だよなぁ。ゼンザノン(東京光学もしくは富岡光学・またはノリタ光学のOEM)とかビオメター(ツァイスのOEM)、コムラー(三協光機)のレンズではない純正品のニッコール。よく写るらしいが……。



 フイルムバッグ。蓋の溝が汚いが、掃除して良いものかどうか迷う。とりあえず蓋のほうだけ掃除しておいた。モルトが詰まってる・・・のなら、迂闊に掃除すると光を引く可能性がある。
 このフイルムバッグ、よく考えられて作られてるよなぁ。しかしフイルムの平面性が……どうなんだろう。設計は悪くないんだが、そこが心配だよなぁ。


 レンズ清掃。といっても、汚れ(擦り傷?)がついているのはレンズプロテクターのほうだけなので、これは近日交換だな。カーボン研磨で落ちない。おそらくレンズプロテクターの汚れを化学繊維か何かで、うっかり擦ってしまったのだろう。「玉」に傷はないので、プロテクターだけ交換しよう。


 もっとも面倒な部分。ファインダー部。本来はここで手前と奥のネジを外して清掃するのだが、ゼンザブロニカシリーズの弱点、ファインダーグラスのモルト剥落問題がある。気軽に外してしまうとモルトが崩れて、ピントが合わなくなるのだ。なので、ここは慎重にゴミを吹き飛ばして、あとは綿棒とレンズクリーニングペーパーで丹念に拭き掃除する。どれだけ使い込まれてきたか、よく分かってしまうな、この写真。
(※伯父はこのカメラを持って雪山に登ったりしているので、かなり使い込まれている)


 最短撮影距離くらいで様子を見てみる。60cmから撮影できる。標準レンズでここまで寄れるのはいいね。二眼と違って視差を気にする必要はなく、レンジファインダーと違って寝転がる必要もない。
 やっぱりホコリ・・・じゃなく、これ金属片とモルト片か。厄介な・・・。


 組み付けて完成。
 うん、頑強なカメラだよな。C330と、どっちが頑丈かと言われたら、たぶんこっちかな。

 このカメラの欠点
・うるさい(ガチャーン! バシャコッ!)
・重い(およそ1.8kg)
・フイルムの平面性に関して若干議論の余地あり
・露光中は一眼レフと同じくミラーが格納されるので何も見えない
 ってところだろうか。

 逆に利点としては、
・パララックスを考慮しなくても良い
・幾重にもある安全装置(フイルム未装填でシャッターチャージしない、フイルム装填済みで引き蓋を外していないとシャッターが切れない、レンズ取り付けが正しくないとシャッター切れない、引き蓋をしていないとフイルムバッグを取り外せない等)
・シャッターチャージ後にシャッター速度変更可能(当時は割と革新的技術だったはず)
・造りがびっくりする位に頑固

 かな。露光中にファインダーから入ってくる光・・・は、これ、どうなるんだろう。ミラーアップではなくミラーダウンで処理しているはずだから、あまり強い光だと感光する可能性もあるのかな・・・?

 とりあえず整備完了。フィルターは、まぁひどい擦り傷でもないので適当なタイミングで買いに行こう。

 にしても、細かいところで結構くたびれた感があるが、前の持ち主(伯父)は、このカメラといいC330といい、一体どれだけの枚数を撮影してきたのだろう。そしてC330もブロニカも、もう一台あるとか冗談みたいなこと言ってたな。
 このブロニカにしても、モルトが割と新しいものになっていたり遮光紙が張替えられたりした痕跡があるので、もしかしたらオーバーホールを何度か経験しているのかもしれない。動作は昭和40年発売のものにしてはおっそろく快調で、シャッター速度の正確さは手持ちのフイルムカメラの中で一番かもしれない。

 尚、この機種、実はオーバーホールサービスが存在する。メンテナンスはそちらに頼んだほうが良い。

師匠のコメントフイルムの巻き取りは通称オメガ巻きです。このタイプはフイルムバック交換式の645-67一眼レフのほとんどが採用しています。理由はコンパクトで「平面性が良い」からです。欠点はフイルムベースが固いと重くなる点程度で、どんどん写す時には中後だけ駆り播きして用意すれば良いから便利な機構です。
今もメーカー又はそれに近いところで整備してくれるカメラは外注する。正しい方向ですね。特に一眼レフは下手にあけないことです。中を触って良いのは独立したフイルムホルダー程度ですね。壊してもスペアが手に入れられますから。

試写 Fujifilm 160NS NIKKOR-P F2.8 75mm



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