写真家"彼方"の白い小箱

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OLYMPUS-PEN EES-2

 ネット上ではPEN EEとかの分解記録は多いものの、PEN EES-2は少ないので一応書き記しておきます。
 バラし慣らしてる人には特にこれといって読むメリットは無いと思いますが……。
 このカメラはジャンク展で買ってきた500円モノ。このコンディションでジャンクとかカメラが泣くわ。

・軍艦部の開け方
 ストラップホールの下にネジ1本、巻き戻しクランクの下にネジ2本。
 巻き戻しクランクの外し方は通常通り(ロックして反時計回し)。
 シャッターボタンの落下に注意。

・絞りユニットまでの分解方法
 今回はシャッターユニットをバラしていません。そこまでする必要が無かったので。

 銘版兼ピントリングをはずします。イモネジがリングの側面に3本。緩めすぎなくても外れます。EEとかだとねじ込み式らしいけど、EES-2ではイモネジです。力任せに回すとピンがブチ折れるので注意。
 ピントズレが起きると不味いので、マーカー等で印をつけることをお奨めします。今回はピント再調整をするので目印は適当に目立たないようにしています。


 リング及び前玉をはずした状態。写真は特大サイズですので分かりにくい方は拡大してどうぞ。
 リングセレンを固定するネジが2本、このユニット(絞り・ピント連動ユニット&セレンの鏡筒部)まるごと外せるネジが3本。セレンに用が無いのならば、3本のほうを外したほうが楽です。
 ここを外す前に、底部をバラしておくことをお奨めします。プラスネジ2本で外れます。理由は、リングセレンに接続されている電線が結構エグい配線になっているため。かなりギリギリを通してる感じなので、ケーブルを先に緩めておかないと、最悪断線する可能性があります。


 鏡筒及び絞りリングを外した状態。絞りリングの位置はAutoの位置で外しておくと楽かも。ぶっちゃけ、どこで外しても大して難しくならないけど。
 
 この状態で、プラスネジ3本(この写真では1本外してある、赤ベロの脇の小さな+ネジは触らない)を外すと、絞りユニットが外れる。必要ならば・・・


 このように、フイルム室側からネジ4本を抜いておく。カニ目不要。
 これで絞り・シャッター部が本体から切り離される。今回はシャッターを触らない。が、ビハインドシャッター(レンズの後ろにシャッターがある)カメラなので一応取り扱いには注意。


 さて、この手続きで中玉+後玉と、絞りユニットがゴロンと外れる。ピンの折り曲げにはくれぐれも注意を。
 絞りユニット(写真手前)をひっくり返すと、ここでカニ目が必要になる。後玉を外すためだ。


 後玉を外すと真鍮ネジ3本で絞りユニットが中玉とくっついているので取ってしまいます。
 写真にある通り、3つのワッシャーが入っています。紛失にはご注意を。
 ネジを外したらそっと引き抜きます。
 また、このユニットにはスプリングが1本入っていますので、外してしまいましょう。こちらも小さなスプリングなので紛失注意。精密ピンセット推奨。元に戻すのは楽です。(O側を引っ掛け、L側を自在側に掛けるだけ、しかもカシメたりしていないので簡単に取り外し・取り付けできる)


・絞りユニットの洗浄
 絞り不良だったので、溶剤でザブザブ洗います。ベンジンが手元に無かったので、ナフサオイル(ジッポーオイル)で洗いました。たっぷりかけて、グニグニ動かしていると、汚れが落ちて少しずつ動きが改善されます。羽根は外せない(多分)ので、開けて乾かし、閉めて乾かし、最後にピンセット等でほんの少しだけ羽根を持ち上げて(本当に少しだけですよ!)風を送り込んで乾かせば、スッカスカな手ごたえになるはずです。
 給油に関してですが、ミシンオイルとかラウナ油(くっそ高い)をナフサで薄めて給油するのがベターなのですが、羽根に油が回るとまた固着したり動きが渋る原因になるので、私はドライのまま(無給油)で済ませました。ボロン粉末もしくはモリブデン粉末によるドライ潤滑はおすすめしません。後玉と中玉にゴミが付着する可能性があるためです。
 スプリングを取り外して洗浄した場合、この時点で戻すことを強く推奨。
 正常に洗浄が完了すれば、スカスカの手応え+スプリングのテンションで気持ちの良い動作が確認できます。


・組戻し
 ちょっとボケてますが、組み戻し時にはこんな感じでワッシャーを噛ませながら真鍮ネジで留める必要があります。
 が、この状態でユニットを入れようとするとワッシャーが逃げます。
 写真一番右下(差込方向から一番奥)のワッシャーを合わせて、まずはここを仮留めし、


 先ほどの写真のように、横からワッシャーを滑り込ませて留めていくほうが非常に楽です。
 シャッターユニットを外して清掃するならば、軍艦部を外してやればおそらくスッポリ抜けると思います。各種電線や針には十分に注意すること。
 ここから先の組戻し手順は、分解の逆順です。

 ・中玉+絞りユニットに後玉を戻す(カニ目)
 ・フイルム室側からネジ4本でシャッターユニットを固定する
 ・ネジ3本でシャッターユニットへ絞り+中玉+後玉ユニットを固定する
  ・戻し位置の間違いに注意。
  ・心配ならここで空打ちして動作テスト
 ・絞りリングと鏡筒をまとめてセットしてネジ3本で留める
  ・リングセレンのケーブル噛み込みに注意する
  ・ここで底部(ネジ2本)を閉めて問題なし
 ・前玉を取り付ける
  ・(ピント調整が不要ならば)絞りリングを取り付け、イモネジ3本


・ピント調整方法
 手頃に手に入る必要なものは
  ・清潔な綿棒1本
  ・フイルム片
  ・レリーズワイヤー
  ・ピンセット

 このカメラにはB(バルブ)がありません。但し、ビハインドシャッターですので、コトはそう難しく考える必要は無いと思います。

 まず、絞りをAutoに設定して、巻き上げノブを回してシャッターを切れる状態にしておきます。(レリーズワイヤーがあるならロック機構をオンにしておくと楽)
 次に、綿棒をシャッター部にあてがって、空打ちします。綿棒がシャッターの閉じ動作を妨げるので、とりあえずそのままで。
 フイルム片(現像済みフイルム、特にモノクロ120フイルムの感光していない部分があると吉)をシャッター部分に入る大きさにカットしてしまいます。幅が足りないと半開きに、高さが足りないとテンションに負けてフイルムが曲がって戻ってしまうので、ちょっとずつ合わせても良い)
 
 先ほどの写真のように、まずは綿棒を寄せていき、シャッターを全開にしてしまいます。
 ピンセットでフイルム片をそっと突っ込みます。
 綿棒を外して、それなりに開いていればこれでバルブになります。

 あとは、すりガラスをパーマセルテープかメンディングテープで貼り付けて(セロテープは糊残りがあると不味いのでお勧めしません)、ピント調整をすればOKです。
 EES-2では距離指標はゾーンフォーカス表記ですが、それぞれが1m・1.5m・3mそしてInfになります。(情報を下さったKaz様に感謝)

 室内調整なら1.5m、屋外へ向けてならInfで合わせれば楽・・・かな。あとはフイルム観察用の10xルーペとかで追い込んでやれば、なんとかなると思います。

 距離と距離指標を合わせた位置で、銘版をロックしてあげれば完成!



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