写真家"彼方"の白い小箱

■Tylenor(タイレノール)・アセトアミノフェンを用いた現像液の処方
 みんな大好きパロディナールの作り方。

◆お師匠様のページの補足
 2022年8月19日 情報追加
 2022年5月21日 情報更新

注意:色々なところから情報を集めて統合しています。正当性については保証できません。一応自分でも色々作ってみて、おかしいところがあれば適宜直していきますのでご了承を。

 お師匠様のウェブサイト(ページ)に、タイレノールを用いた現像液の処方についてが書かれている。
 通常、自分があれこれ言うつもりはないのだが、しかし細かいところの補足をしていこうと思う。
 あと、薬品についての記載について、(リンク先が)間違っているようだ。またその師匠のページから参照されていたページまで、どうも片っ端から消えているようだ。ひとまず集められるだけ情報を集めてみた。
 特に薬品名については複数の情報を確認したので、ここの記載のほうが正しいと思われる。

◆製造量速算表

 お師匠様のページには一定量のタイレノールを用いた場合のデータが置いてあるが、互換品や少量製造のためのデータが(特に自分が)欲しいので、目安量を以下に示す。
 ちなみに、タイレノールはアセトアミノフェンが1錠につき500mgほど入っている。国内市販品では基本的に300mgまで?(医師の処方により500mgまで?)らしいです。海外でもポピュラーな解熱鎮痛剤で、英国製なら650mgなんてものも。
 国産品では、ACE処方の場合、無水カフェインが含有されています。現像にどれくらい変化があるかは分かりませんが、300mg製品を使う場合は計算式が変わりますのでご注意を。(ちなみに、国内販売のタイレノールは主成分がアセトアミノフェン300mgだけ、だったりします。というより、タイレノール以外は色々混ぜてます。)

 ところで、300ml容器に入れるのに、水300mlで作ったりはしないでね。
 各種薬品と錠剤が入りますから、まあまず間違いなく溢れます。
 150mlの水で作る場合、タイレノール500mgを使うと200ml前後になります。
(水150ml+無水亜硫酸ナトリウム30g+水酸化ナトリウム12g=ざっくり190ml近く、これにタイレノールが加わるので200ml前後)


水量(ミリリットル 50℃) タイレノール500mg(錠) (無水)亜硫酸ナトリウム(g) 水酸化ナトリウム(g)  
25 3 5 2 最小
50 6 10 4  
75 9 15 6  
100 12 20 8  
125 15 25 10  
150 18 30 12  
175 21 35 14  
200 24 40 16  
225 27 45 18  
250 30 50 20  
以下 大量製造用データ
300 36 60 24  
400 48 80 32  
以下+100ml毎に +12錠 +20g +8g  
 
以下、通常市販品(アセトアミノフェン300mg配合)を使用した場合
※製品により配合が違うため、同程度の性能を得られるかは保証しません。あくまで推定値。
コストパフォーマンスが悪すぎるので、あくまで目安。
200mgのアセトアミノフェン錠剤もあるので、そちらは計算してね。
水量(ミリリットル 50℃) アセトアミノフェン300mg(錠) (無水)亜硫酸ナトリウム(g) 水酸化ナトリウム(g)  
25 5 5 2  
50 10 10 4  
100 20 20 8  
以下+100ml毎に 20錠 +20g +8g  


水酸化ナトリウムの取扱には特段の注意を要する
 フレーク状・液体状のものを含む、5%以上の濃度のものは劇物扱い。購入には薬局で身分証明書と印鑑(押印)が必要となる。
 強塩基、アミド結合の加水分解(=皮膚をどんどん溶かす)、ガラス瓶への移し変え厳禁(ガラスと反応してケイ酸ナトリウムになる、ポリエステル系プラ容器もダメ)、水による強い発熱(突沸を起こすレベル)、水蒸気の吸い込みは危険吸湿性が高いので手早く作業。他、慣れていないのであれば安全メガネ及びゴム手袋の着用を強く推奨
 目や口に入ったら、ただちに大量の流水で十分に洗い、すぐに医師の手当てを受けること。


◆製造手順

 製造手順についてはお師匠様のページで語られていないため、暫定的に掲載。
 間違いがあれば修正します。

・レシピ1(師匠がやったと思われる)

1.各種薬品と水を用意する。ビニール手袋やゴーグルもあれば尚良し。
 └水については蒸留水がベストらしい。次は沸かして冷ました水。

2.水にアセトアミノフェン錠剤を加える。この段階では溶けない。
 └(恐らく腑形剤の性質で、アルカリ[塩基質]で溶ける? = 水に入れても溶けない)

3.無水亜硫酸ナトリウムを加える。
  師匠は「無水炭酸ナトリウム」と書いていたが、無水亜硫酸ナトリウムのほうが正解のはず。
  量として溶けるかどうか微妙だが、とりあえず入れておけ。

4.水酸化ナトリウムを加える。有害蒸気や飛散にはくれぐれも注意する。

5.常温で保管(冷蔵庫に入れると腑形剤とかが固まったので、温めて溶かす必要がある)
  製造直後は使用不可。72時間の密閉と熟成期間が必要。
  およそ3か月程度使用可能(とはいえ、実際はもっと持つらしい)
  追記:持った。私に分けられたものは暗所で1年。だが安全を考慮すれば90日が良いと思う

※亜硫酸ナトリウムは保恒剤として作用する。食品や医薬品にも使われるが、皮膚炎や蕁麻疹、アレルギーを誘発するので水酸化ナトリウム同様に、取扱には注意を要する。

・レシピ2(師匠が参照していたページの復元情報)
※250mlで作ると仮定したレシピです。

1.各種薬品と蒸留水を用意する。ビニ手・ゴーグル・マスクを用意すべし。

2.A剤として水100mlに亜硫酸ナトリウムを溶かす。
 ※亜硫酸ナトリウムは27g/100ml 20℃で飽和。50g溶かすとかマジか?

3.B剤として水に水酸化ナトリウムを溶かす。

4.B剤がちゃんと溶け切ったらアセトアミノフェンを入れる。
 ※参照先(消滅)では純粋アセトアミノフェンを推奨している。

5.B剤を冷却し、A剤を混ぜる。残った水(50ml)を加える。

6.密栓容器で72時間熟成後、90日使用可能。

 これとは別のテクニックとして、フォグ抑制手段として、臭化カリウム(ブロムカリ)を水75mlあたり0.5〜1g、または5g追加する処方もあり。(※処方によっては保存性が悪くなるとの情報もあり)
 更に、本家に近付けるために、水酸化ナトリウムではなく、水酸化カリウムを使うレシピもあり。ナトリウムベースより、カリウムベースのレシピのほうが使用感が良くなるようです。

◆現像手順

 希釈現像(ワンショット)として利用。温度は20度を目安として。

・50倍希釈:およそ15〜20分程度 推奨

・100倍希釈:およそ60分(1時間) 経済的!

・200倍希釈:およそ180分(3時間)

 が目安のようだ。フイルムによって適切と思われる速度が違うが、1:100の場合は1時間放置でだいたい大丈夫の模様。少なくとも自分はそれで失敗していない。
 また、師匠のところにも書いてあるが、使う時は薬液は攪拌せず、デカンテーション(上澄みを使う)で。

1:100現像
 小型丸タンク現像なら、スタートで1分程度の倒立攪拌を行い、あとは軽く叩いて泡抜きしたらそのまま放置。気になるなら中間点で一度攪拌、程度で良いようだ。

1:50現像
 フイルムによって、最短11分20℃から、21分20度まである。(攪拌については3分毎)
 アドナール(ロディナール)のボトルには8〜15分くらいと記載があるが、攪拌間隔が30秒とか1分の時間だと思われる。
 どちらにせよ、フイルム毎に適正時間が違うようなので、見極めが必要。

 共通して、停止は停止液(希酢酸)でもいいし、水洗いでも十分停止すると思います。
 定着と、特にハイポ抜きは、しっかりやったほうが宜しいかと。
◆新しい手法の確立を行った御方々に感謝。

 お師匠様(Kan先生)、そしてお師匠様へ情報提供して頂いたMartin Zimelka様、無尽探査機様、tri-chrome様、hirorishen様に感謝を。
 
◆つくってみた。

 最初は100mlをメスシリンダーで作ってみたが、考えてみたら攪拌するための匙が届かないことに気付く。
 慌てて別の容器にとり分け、水50mlを足してちゃんと薬品を移し替え、不足した薬品を足す。

 このやり方が正しいかは分からないので、テストしてちゃんとレポートします。

1.無水亜硫酸ナトリウムを水に放り込む。
 
この段階ではまだ安全。とはいえ水に溶かすと塩基を示すので、迂闊に触るようなことは絶対しない。

2.必要量のタイレノールまたはアセトアミノフェンを投入する。
 ※この段階ではまだ全ての薬品は絶対に溶けない。気にせずに作業する。



3.【ここから注意】水酸化ナトリウムを投入する。
 私はフレーク状の99%グレードを使用した。高いものでもないし、取扱いしやすいと感じたので。
 フレークの利点は、この状態でただ放り込んでも即座に発熱して蒸気が発生しない点。飛散の心配が少ない点。
 難点としては、0.01g単位の調整はちょっと難しい。まあ、0.1g程度なら何とかなる。

 で、上の写真は「発熱が始まらないな」と思って薬匙でかき混ぜたら、猛烈な勢いで発熱が始まって、慌てて瓶を冷水に浸したもの。たった12gの水酸化ナトリウムだったが、ちょっと混ぜたらお風呂の温度くらいになったので、このままだと熱で瓶が粉砕する、と思った。なるほど、確かにこれは危ない。

 冷却しながら攪拌していくと、沈んでいた薬品・錠剤が溶けてゆく。

4.ここから72時間待つ。


 この写真は混ぜた直後のもの。正直、最初は乳白色に仕上がるのかと思ったが……普通に茶色くなった。
 フタが閉まっているように見えるが、温度がまだ高い(水蒸気で内側が曇っている)ので内蓋(パッキン)を外したまま、まだ密栓はしていない。常温に戻るのを待ち、それから密栓して72時間待機する。



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